手巻き愛好者の要望に再び応えるためなのか、あるいはブランド改革において1990年代のCal.420を使い切るためだったのか、事情はよく知らないが、「クラス エル・プリメロ HW」が自分好みの魅力的なモデルに思えたことだけは確かだった。ダイアルは「プライム」やそれに連なる「クラス エル・プリメロ」の特徴的なパイロットウォッチのスタイルよりも一段と力強く、夜光のアラビア数字については、後になって2009年に発表された「パイロット」にそっくりだ。また、5連のメタルブレスレットを組み合わせ、スポーティーでちょっとかっこいい、好印象のクロノグラフなのだった。
「クラス エル・プリメロ HW」は2000年の発表からどれほどの期間作られたのか調べていないが、「プライム」のように長くは続かなかったように思う。「オープン」で新機軸を打ち出すまでのつなぎだったのかもしれない。幸いにしてディスコンになる前に手に入れることができ、今までおよそ20年愛用してきた。2010年代のある日ゼニスのスイス人スタッフに見せたら、「自分は実物を見たことがない」と言ったので驚いた。ほんとうか? 良く言えば価値あるレアモデルなのかもしれない。それはさておき、この時計にはいつくもの良さがある。シースルーバックからCal.420の特徴的な設計が見て取れること、ヴィンテージルックとモダニティが調和したダイアルデザインが洗練されていること、ケース径は程よい約40mmで、厚さは手巻きゆえに約11mmとけっこう薄いことなどだ。たぶん三度目の手巻き「エル・プリメロ」はもうないだろう。
最高級シャネルコピー今や希少な「クラス エル・プリメロ HW」もまた、自分にとって1990年代を回顧させる時計のひとつなのだった。
今回は、オールブラックでスポーティーに仕立てられたハミルトン「アメリカン クラシック イントラマティック オートクロノ」をインプレッションする。本作はケースにブラックPVDを施したことでサイズ表記よりも引き締まった外観であり、文字盤の仕上げの変化や、ホワイトの針と印字のコントラストによって、オールブラックながら単調ではないデザインが魅力であった。
今回インプレッションするのは、自動巻きの機械式クロノグラフムーブメントCal.H-31を搭載するメカニカルクロノグラフのハミルトン「アメリカン クラシック イントラマティック オートクロノ」である。ハミルトンはクロノグラフに限ってもさまざまなテイストの魅力的なラインナップを擁するため、ここで一度、同ブランドのコレクション全体を振り返っておこう。
本作が属する「アメリカン クラシック」には、ハミルトンのルーツであるアメリカでかつて流行したデザインや、ハミルトンのアーカイブを元にしたモデルがラインナップされる。また、クラシカルでビジネスシーンにマッチするモデルが多いのが特徴である。この観点で比較候補に挙がると予想されるのが「ジャズマスター」である。ジャズマスターには、モダンなインフォーマルウォッチが並んでいるのが特徴だ。ビジネスやカジュアルといった幅広いシーンにマッチするモデルを求めるのであれば、まずはこのふたつのコレクションに注目してみると良いだろう。
ツールウォッチをラインナップする「カーキ」は、ダイバーズウォッチが多く並ぶ「カーキ ネイビー」、パイロット向けの「カーキ アヴィエーション」、フィールドウォッチの「カーキ フィールド」と3つに分類されている。それぞれにはかつての名作を元にしたモデルや、モダンなツールウォッチなど多彩に並び、スポーティーさやミリタリーテイストを求めるならば好適だ。また、世界で初めて一般発売された電池駆動の腕時計の系譜を引く「ベンチュラ」も忘れてはならない存在だ。